株式購入時に、その会社の業績の確認は必須になります。
なぜなら、その企業の今の業績や経営状況が分からない状態では、将来事業を継続できるかどうか分からないからです。
- なぜ株価が伸びているのか?
- この会社には、成長性があるのか?
- 今の株価は高いのか、低いのか?
このような状況になった時に、会社の状態を表す各指標の意味を理解する必要があります。
しかし、多数の指標用語があり、指標自体あまり見慣れないものなので、投資初心者にとっては理解することが難しいと思います。
そこで、今回は最低限押さえておきたい主要な株価指標を4つに絞りましたので、まずはその4つを確実に理解しておきましょう。
実際の例として、私も愛用している楽天証券のモバイル・トレーディングツールである「iSPEED」での確認方法をもとに解説します。
目次
1.時価総額|企業全体の価値がわかる
時価総額とは、企業の価値を数字に表したものになります。
時価総額を求める計算式は以下のようになります。
時価総額=1株当たりの株価×発行済み株式数
つまり、現在の1株の株価に、発行されている株式数をかけることで時価総額が分かります。
ここから、時価総額が高い会社は以下の3パターンに分けられます。
一般的に、時価総額が高い会社の株式は、「流動性」が高く値動きが安定しやすいと言われています。
「売りたいときにいつでも売れるかどうか」を表したものです。
例えば、自分の家を売りたい場合、売りたい値段(1000万円)で売りに出します。
しかし1000万円という値段だと、なかなか買い手が現れません。なのですぐには売れず、売れるまでしばらく待つ必要があります。
こういった場合は、「流動性が低い」と言えます。
この例を株式投資に置き換えると、「今すぐ手持ちの株式を売って現金にしたい!」と思って売りに出しても、なかなか売れずに現金に戻せない。
また、希望の値段で売れないので、もう少し値段を下げないと売れないといった状況になります。
したがって、流動性が低い株を買うと、売るときに本来の価値で売れない可能性があります。
もし株式を現金化することが分かっているなら、流動性の高い株を購入する必要があります。
2.売上高|企業が商品やサービスを販売して得た総収入
売上高とは、企業がサービスや商品を提供することで得られた金額の総額を指します。
例えば、100円のジュースを販売することで得られる売上高は100円になります。
実は、売上高と利益を同じものだと勘違いしている方がいますが、全く別のものになります。
売上高=企業が販売して得た総収入
利益=売上高ー商品の仕入れにかかった原価
例えば、原価10円、経費20円、人件費30円とします。
100円(売上高)ー10円(原価)ー20円(経費)ー30円(人件費)=40円(利益)となります。
したがって、売上高が大きいほどその会社の儲けが大きいことを表しています。
株式指標を理解するには、このように指標を構成している要素を分解してみると分かりやすいです。
表面上の用語の意味ではなく、用語を成す仕組みを理解することで、汎用性が増します。
PER|株が割高か割安かを見る目安
PERはPrice Earnings Ratioの略になります。
このPERはいったい何かというと、今の株価が高いのか安いのかを判断するための指標になります。
例えば、「株価が1000円」と聞いて、その価格が高いのか低いのかどうかは、他の株価と比較しないとわかりませんよね。
人によっては「高い!」と思いますし、「安い!」と思う人もいるはずです。
このような曖昧さをなくし、株価の基準を測る指標として用いるのが「PER(株価収益率)」になります。
PER(株価収益率)の計算式は以下のようになります。
PER(株価収益率)=株価÷1株当たりの純利益

1株当たりの純利益ってなに?
純利益とは、以下のような意味を持っています。
会社の最終手な利益
つまり、先ほどの売上高から原価、人件費、税金やその他のコストを引いて最終的に手元に残る金額、それが純利益です。

なぜ株価を1株当たりの純利益で割ると、PERがわかるの?
多くの方が、「とりあえず上記の計算式でPERが分かる!」とまでしか把握していません。
しかしPERの意味を理解するためには、やはり指標の仕組みを知る必要があります。
数字を当てはめるとわかりやすいと思います。
1株当たり純利益を10円、株価を100円とすると、100÷10=10でPERは10倍になります。
つまり、株に投資した100円を回収するまでに10年かかることを意味しています。
ちなみに日本株の場合だと、PER14~16が平均値とされています。この水準よりもPERが低ければ割安、高ければ割高と判断することができます。
まとめると、PERを確認することで、会社の株価が「今は高いのか?」「安いのか?」を把握することができます。
EPS|企業が稼いだ額を1株で換算
EPSとは、Earning Per Shareの略になります。
つまり、ある会社が発行した1株に対して、その会社がどのくらい利益を稼いでいるのかを換算したものです。
計算方法は、以下のようになっています。
EPS = 当期純利益 ÷ 発行済株式数
例えば、当期純利益が1億円、発行株式数が100万株とすると、1億円÷100万株=100円(EPS)となります。
このEPSが去年よりも高ければ、「会社の業績は良くなっている」と判断することができます。
ちなみに株価は「EPS(1株当たりの純利益)×PER(株価収益率)」で求められます。
PERは先ほど説明しましたね。つまり、PERが変わらずEPSが高くなっていけば、株価は高くなっていきます。
したがって、EPSが順調に推移していれば、将来株価も上がっていくと予想を立てることができます。
このEPSは、会社の業績と株価を比較するときは、最重要の指標となります。
EPSが上がる要因についても覚えておきましょう。要因としては大きく2つあります。
EPSが上がる要因①|株式分割

株式を分割?分割するとどうなるの?
1株を分割して、いくつかの株式に分けて発行済み株式数を増やすこと
1株を分割すると、分割された株式の価値は小さくなります。
分割したからといって、自分が持っている株式全体の価値は変わりませんので、安心してください。
1株あたりの株式が分割された分、小さくなるだけなので、全体の価値は変わらないという意味です。

なぜ株式を分割する必要があるの?
理由は2つあります。
①株式の流動性を高くするため
②市場区分のグレードアップを目指すため
①株式の流動性を高くするため
株式を分割すると、その分割された株式の価値は低くなります。つまり株価が下がります。
株価が下がると、今まで高くて買えなかった人も株を買うことができます。つまり、「流動性を高めて株主を増す」という狙いがあります。
②市場区分のグレードアップを目指すため
余談になりますが、現在の日本の株式市場は3つの区分で分けられています。
- プライム市場
→ 大企業向け。上場基準が最も厳しい。(例:トヨタ、ソニー) - スタンダード市場
→ 中堅企業向け。安定性と成長性のバランス。(例:多くの上場中小企業) - グロース市場
→ 成長企業・ベンチャー向け。将来性重視。(例:新興IT企業など)
大企業=プライム、中堅=スタンダード、成長企業=グロースといったイメージです。
序列で言うと、プライム>スタンダード>グロースという感じです。
このプライムを目指すためには、ある決まった条件を満たさなければいけません。例えば、株主数、流通株式数、売買高、時価総額などですね。
これらの一定の基準を越えることで、より上の市場に行けるというわけですね。
この2つの目的から株式分割を行います。
EPSが上がる要因②|自社株買い
あとEPSが上がる要因の2つ目は、自社株買いです。
企業が発行した株式を、自ら買い戻すことです。

わざわざ発行した株を、なぜ買い戻すのでしょうか?
株を買い戻すということは、市場に出回る株が少なくなります。

株が少なくなるとどのような影響があるのでしょうか?
1つは、株価を調整できます。
例えば「1000円」の株が「1000株」発行されていたとしましょう。その株が自社株買いにより500株に減少したとします。
株数は半減したことにより、1株当たりの株の価値は倍増します。それだけ希少価値が上がったからですね。
もう一つは、配当金を節約することができます。
株数が減少するので、1株あたりに支払われる配当金もそれだけ減ることになります。つまり、株式を発行している会社からすると、配当金をそれだけ節約できるというわけです。
①株式分割
②自社株買い
この2つの方法によってEPSは上昇します。
まとめ
今回は、特に重要な指標に絞って解説しました。
株式指標を調べると、本当に多数存在します。しかし、それらを全てチェックする時間もないですし、むしろ何が重要なのか分からなくなってくると思います。
なので、今回はぜひチェックしてほしい指標を厳選して紹介させて頂きました。
何度も言いますが、指標用語の意味だけではなく、仕組みの理解をしておくことをおススメします。
ぜひ主要なか株価指標を押さえて、株式投資を行いましょう!
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