資産運用を行っていく間に必ず必要になってくること...
それは、「リスク管理」です!
株や投資信託など保有している金融商品は、日々価値が変動する生ものです。
全く管理していない状態が続くと、最終的には腐って何も残らない可能性もあります。
そのような結果になると、何のために投資をしているのか分からなくなってしまいます。

投資の目的は、将来の資産を増やすことですよね。
その目的を達成するためにも、自身の資産におけるリスク管理は必須です。
今回は、そのリスク管理について徹底解説、そしてその方法を公開します。
そもそもリスクとは?
リスクと聞くと不安に思われたりするかもしれません。
意味をよく知らないと、漠然とよくないものだというイメージが湧いてきますよね。
しかし、リスクの意味を実際に調べてみると、「不確実性」という意味を持っています。
不確実性=確実ではないこと。つまり100%ではないということです。
以下の問いに対して、100%断言できるでしょうか?
・私たちがこの先80歳まで生きることはできるか?
・環境汚染が進行している現在、将来きれいな水を飲み続けられるか?
これらの問いについて、「100年後も確実にできます!」と断言はできません。
つまり、これらの問いもまた不確実性なのです。
投資においても同じことが言えます。

今この商品に投資をすれば、100%利益が出ます!

よし、それなら投資しようじゃないか!
このように、即決断できる方はなかなかいないのではないでしょうか・
もちろん、「確実に利益が出る」投資なんてものはありません。
この不確実性=リスクなのです。このリスクをなくすことは絶対にできません。

しかし、このリスクをコントロールすることはできるのです!
コントロールというのは、リスクを管理して減らす方向にできるだけ動くようにすることです。
投資を行うにあたって、実はこのリスク管理はとても大事なのです。
どれだけ利益を出したとしても、リスク管理が不十分で、その後に大きく損を出してしまうといったこともあります。
そうならないためにも、まずはこの「リスク」という自分の中にある漠然とした先入観をなくして、「リスクって不確実なことを指してるんだな」というイメージに変えましょう!
リスク管理の手法
ここでは5つのリスク管理の手法について解説します。
1つ1つ難しそうに感じるかもしれませんが、分かりやすく具体的にお伝えします。
ポートフォリオの分散
これは「投資先を分散しよう!」ということです。
例えば、株式投資を例にとってみましょう。
①保有銘柄の株価が1.5倍になったが、その後に会社で不祥事発覚した
ある、医療メーカの銘柄に100万円分投資していたとします。
購入してから、株価は徐々に右肩上がりになり、購入時の1.5倍の金額にまで成長しました。
しかし次の日にニュースで、その医療メーカーの社長が不祥事を起こしてしまったと放送されました。
②株価が急に値下り
すると、ニュース放送後に株価は購入時の2倍も値下がりしてしまいました。
社長の不祥事が原因で企業のイメージダウンにつながり、業績もどうなるか分からないと投資家心理が不安定になったことが原因です。
結果的に株式の売却が急に増加して、株価の値下がりにつながってしまいました。
③資産価値が100万円から50万円に値下り
投資資金は、この医療メーカー1社に全額投資していました。
最終的に、投資していた100万円が50万円にまで減ってしまいました。
実はこういった不祥事のニュースなどで株価が急落することは頻繁にあります。
しかし、ニュースが出るか出ないか予想するなんてことは、会社の社員でもない限り分かりません。
つまり、これが株式投資によるリスクの1つと言えます。
このリスクを避けることはできるのか?

残念ながら完全に避けることはできません...
しかし冒頭でも伝えたように、このリスクをコントロールすることはできます!
その方法が、ポートフォリオの分散です。
具体的にいうと、1銘柄に全額投資するのではなく、複数銘柄に分けて投資するのです。
例えば先ほどの例で、ポートフォリオ分散を行ってみます。
①2銘柄に分散して投資する
先ほどの医療メーカーAに50万円。その他の医療メーカBに50万円投資することにします。
不祥事のニュースで医療メーカーAの株価が半分に下がりました。
②銘柄Aは傷を負ったが、銘柄Bは無傷
銘柄Aの資産価値は50万円→25万円へと下がりました。
しかし銘柄Bは影響を受けずに、50万円のままでした。
③投資資金は25%の下落で済んだ
銘柄Aと銘柄Bを合わせた現資産価値は、75万円となりました。
先ほどは50%下落でしたが、今回は25%の下落に抑えられましたね。
ポートフォリオの分散によって、以上の結果になりました。
そして、さらに踏み込んで以下のように投資戦略を変更してみます。
①銘柄Bを追加で購入する
「医療メーカーの銘柄Aの不祥事があったので、もう一方の銘柄Bは株価が上がるかも?」
このように考えて、銘柄Bの株を50万円追加で購入します。
②予想通り銘柄Bの株価が2倍に
最終的に銘柄Bへの投資資金は100万円です。
さらに予想通り、銘柄Bの株価は2倍になり100万×2=200万円に増加しました。
そして、銘柄Aと銘柄Bの最終的な金額を合わせると、225万円になります。

銘柄A損をしたのに、最終的な収支はプラスになりましたね。
これがポートフォリオの分散のポイントです。
上記の例は極端ですが、分散投資することでリスクを大幅に減らすことができます。
また特定の投資先が不調の場合でも、もう一方を調整することでポートフォリオ全体のリスクを軽減できます。
・株式投資なら、銘柄Aと銘柄Bへ分散投資する。
・投資信託であれば、日本以外の投資先が含まれているもの。
・株式&債券など、異なる商品を組み合わせる。
市場・企業リサーチと分析
投資前に投資対象の市場や企業について詳しく調査し、データや情報を収集しましょう。
例えば...
株式投資する=企業に投資する
株式投資は企業が発行している株式に投資しています。
もし投資先の企業のことを何も知らない状態だったら、将来株価が上がるのか?下がるのか?見当もつきませんよね。
そこで市場・企業のリサーチと分先が必要になってきます。
・企業の財務状況
・市場内での競争状況、
・市場のトレンド商品
これらを分析し、リスクとリターンを適切に評価します。
しかし、いざリサーチしようと思っても...

何から始めればよいのかよくわからない!
まずは、「会社の決算書」を読めるようにしましょう。
まずは会社の決算書を読む

まずはこれを第一優先で行ってほしいです!
なぜなら、決算書が読めるようになると、リサーチがめちゃくちゃ楽しくなるからです。
ある会社の決算書を見ることで...
・去年から今年はここまで利益が上がったのか!
・なぜこんなに上がったのか?
・部門別の売上を確認してみよう!
このように、深堀して調べていくと...
・この分野が大きく伸びているな!
・この先もっと伸びるんじゃないか?
・今後の配当金にも期待できるかも!
このように、イメージが膨らんでいきます。

私はこの決算書を確認してイメージする過程がとてもワクワクします!
また、ついでに数字にも強くなります。
決算書は、会社を知っていくためのスタート地点です。
どんどん調べていくと、自分の知らなかったことも知識として肉付けされていくので、かなり幅広い知識も手に入ると思います。
決算書の読み方に関しては、私は以下の本がおススメします。
以下のボタンから、購入できます。
会計クイズを解くだけで財務3表がわかる 世界一楽しい決算書の読み方
大手町のランダムウォーカー (著), わかる (イラスト)
私も全く決算書が読めず、決算書に記載されている言葉の意味すらよく分からない状態でした。
この本を読んで理解することで、今では決算書も読むことができるようになりました。
リスク管理~経済指標を分析する
投資する会社が直面する可能性のあるリスクシナリオを想定し、そのリスクに対する影響や対策を考えることも重要です。
例えば、市場の下落や経済の変動に対するポートフォリオの耐性を評価し、適切な対策を講じることができます。
要するに、経済の動向もしっかりチェックしておきましょうということです。

しかし、経済と言っても幅広いですよね。
何をチェックすればいいのでしょうか?
結論から言うと、「指標」を見るべきです!
いわゆる、経済指標と呼ばれているものですね。
経済指標とは、各国の経済活動状況を表す統計データのことです。各国の公的機関が定期的に集計・公表するデータを指します。その発表内容は金融市場に大きな影響を与えます。
つまり、その経済指標を確認することで...
「私が持っている投資商品のリスクは、どのくらいの価値なのか?」
この価値のおおよその見当を判断することができます。
経済指標にも様々な種類があるので、主にチェックしておくべき指標についてご説明します。
①日銀短観
日銀短観とは?
日銀短観は、日本銀行が定期的に発表している経済調査の結果です。
この調査の目的は、日本の企業や経済の現状を把握し、今後の経済動向を予測するために行われます。
具体的には、企業に対して...

現状、景気はいいですか?悪いですか?
このような業況に関する質問を行い、その回答を基に経済の現状や先行きについての指標を算出します。
・年に4回(1月、4月、7月、10月)発表される。
・主に「業況判断DI(業況判断指数)」が注目されている。
・この指標をもとに、企業の景況感や経済全体の動きを予測する。
この日銀短観は日本銀行のホームページ上で簡単に閲覧できるようになっています。
日本銀行ホームページ(ホーム : 日本銀行 Bank of Japan)
2023年3月―第196回 全国企業短期経済観測調査
日銀短観の主要なポイント
①業況判断DI(業況判断指数)
②景気見通し(先行きの予測)
③ 設備投資計画
①業況判断DI(業況判断指数)
業況判断DIは、企業が現在感じている景気の状況を数値化した指標です。
・数値がプラスであれば→「景気が良い」
・数値がマイナスであれば→「景気が悪い」
この指数は、製造業や非製造業に分かれて発表され、業界別の景況感がどうなっているかを知ることができます。
たとえば、製造業の業況判断DIがプラスであれば、企業の生産活動が活発であり、景気が上向きである可能性が高いことを示唆します。
逆に、マイナスであれば景気が停滞していることを意味します。
②景気見通し(先行きの予測)
日銀短観では、企業の先行きに関する予測も発表されます。

企業が今後の経済をどう予測しているか知ることは、経済全体の先行きを占ううえで非常に重要です。
先行きの見通しが好調であれば、企業が将来の需要増加を見込んでいることを意味します。
しかし、逆に先行きが厳しいと予測している場合、経済の回復は遅れる可能性が高いと言えます。
③設備投資計画
設備投資は、企業が今後どれだけ設備や人材に投資するかを示す重要な指標です。
設備投資が増えると、企業の生産能力が向上し、経済全体にプラスの影響を与えることが期待されます。
反対に、設備投資が減少すると、企業の成長意欲が低下していると捉えられ、経済の減速を示唆することになります。
日銀短観を活用する方法
①経済全体の動向を把握する
②投資戦略を考える
③政策の予測に役立てる
①経済全体の動向を把握する
日銀短観は、経済全体の動向を把握するための重要な指標となります。
日銀短観の主要ポイントである
①業況判断DI
②先行きの見通し
③設備投資計画
これらをチェックすることで、景気の現在の状況や今後の予測が見えてきます。
これらを活用することで、経済の未来に対してより確実な判断ができるようになります。
②投資戦略を考える

投資家にとって、日銀短観は非常に重要な情報源となります!
企業の景況感や設備投資計画などをもとに、今後の経済動向を予測し、投資戦略を立てることができます。
例えば、製造業の業況が好調であれば、製造業関連の株が注目されるかもしれません。
逆に、非製造業の景気が悪化している場合、サービス業関連の株に注意が必要となるかもしれません。
③政策の予測に役立てる
日銀短観の結果は、日本銀行の金融政策にも影響を与える可能性があります。
景気が回復していない場合、日本銀行が金利引き下げや量的緩和を行う可能性が高くなります。
逆に景気が過熱していると判断されれば、金利引き上げや金融引き締めが行われることが考えられます。
日銀短観を基に、今後の政策の方向性を予測することができます。
②米国雇用統計
米国の経済状況の変動は、日本市場にも大きく関係があります。

これは、日本株を購入している約7割が外国人投資家だと言われているためです。
また、あの有名投資家のウォーレン・バフェットも日本株を好んで多数の銘柄を保有しています。
なので、この米国雇用統計もしっかり確認しておきましょう!
米国雇用統計とは
米国雇用統計は、アメリカ合衆国の労働市場の状況を示す指標です。
米国労働省の労働統計局(Bureau of Labor Statistics)によって、毎月第1金曜日に発表されます。
米国雇用統計では、主に以下のデータが発表されます
- 非農業部門雇用者数(Nonfarm Payrolls)
- 失業率
- 平均時給(平均賃金)
- 労働参加率
- 職業別雇用の増減(業種別データ)
経済の健全性を知るために重要な指標となります。
これらのデータを総合的に分析することで、米国の労働市場の状況や経済の強さを理解することができます。
米国雇用統計の注目ポイント
5つのデータの中で特に重要なのが...
①非農業部門就業者数
②失業率
この2つのデータについて解説していきます。
①非農業部門雇用者数
最も注目される指標の一つが、非農業部門雇用者数です。
この数値は、農業以外のすべての業界で新たに雇用された労働者の数を示しており、経済の拡大・収縮を直接的に反映します。
●予想を上回る数字が発表された場合
経済の回復や成長を示唆し、株式市場やドル相場にポジティブな影響を与えることが多いです。
●逆に予想を下回る数字が発表された場合
景気減速を懸念する声が高まり、市場はネガティブに反応することがあります。
この米国雇用統計は、米国の中央銀行にあたるFRBも経済政策の判断材料の一つとして重要視しています。
② 失業率
失業率も非常に重要な指標です。
これは、労働市場における需要と供給のバランスを示しています。
・低い失業率→経済が好調であることを示す。
・高い失業率→経済の停滞や回復の遅れを示す。
失業率が急激に低下している場合、インフレの上昇を警戒する声もありますが、安定した低失業率は経済にとって良い兆候とされます。
米国雇用統計と日本株への影響とは?

結論から言うと、事前予測の差で影響によって影響度は異なります!
これは、どういうことか?
・米国雇用統計の結果が良かった→株価が上がる
・米国雇用統計の結果が悪かった→株価が下がる
このように、単純な話ではないのです!
投資家は株式投資の際に、「事前に」雇用統計を予測します。
そのため、その事前予測と実際に発表された統計結果が大きくずれていた場合、市場への影響が大きいというわけです。
つまり...
●予想と結果がほとんど同じ場合
それほど市場への影響はない可能性があります。
●予想と結果が大きくずれていた場合
そのギャップが市場へ大きく影響する可能性があります。
ちなみに、その事前予測の時は「ADP雇用統計」というものが使われます。
「ADP」とはオートマティック・データ・プロセッシングという、米国の大手給与計算会社である民間企業です。そのADPが、米国雇用統計の2日前に発表する統計を「ADP雇用統計」と呼びます。
投資家の動きが、市場に影響を与えるまでの流れとしては以下のようになっています。
①投資家はADP雇用統計で事前予測をする。
②ADP雇用統計発表2日後、実際の結果として「米国雇用統計」が発表される。
③「ADP雇用統計」の予測と「米国雇用統計」の結果の差が株式市場に影響を与える。
④その結果、株価が上がったり下がったりと変動する。
例えば、2021年5月のADP雇用統計は、前月より「97.8万増」という結果でした。
つまり...

米国雇用統計も、それなりに良い方向に上がるのではないか?
このような予測ができるわけです。
そして、そのADP雇用統計の結果を受けた最終的な市場予想としては「65万人増」でした。
しかし、実際の米国雇用統計は「55.9万人増」でした。
確かに増えていますが、予想よりも約10万人少なかった結果になりました。
この結果、ドルが売られて、その週明けの日本株式相場が下落しました。
●ドルが売られた場合
・ドルの価値は下がり、「ドル安」になります。
・ドルから円に資金が向かい、円の価値が上がって「円高」になります。
円高とは、要は1ドル=130円から100円になる状態です。日本の輸出企業が製品を外国へ売るときに、前まで130円で売れていたのに100円でしか売れなくなってしまいます。

円高になると、基本的に日経平均株価やTOPIXは下がる傾向にあります。
なぜなら、日経平均株価の指標となっている企業は輸出企業が多いからです
つまり円高から日経平均株価に影響を与える流れとして...
「円高」になる
→日本の輸出企業は利益が減少する
→輸出企業が多く採用されている日経平均株価が下がる
このような結果になる可能性があります。
逆に輸入企業にとっては、利益が増加していくというわけです。
このような関係により、米国雇用統計と日本株式市場は密接につながっていると言えます。
米国雇用統計をどう活用するか?
①経済動向の予測
②市場の反応を予測
③金利政策の予測
①経済動向の予測
米国雇用統計は、経済全体の健康状態を知るための重要なデータです。
特に非農業部門雇用者数は、企業の雇用意欲や景気の強さを反映しており、今後の経済成長や縮小を予測するために役立ちます。
●米国雇用統計が良い結果の場合
経済成長している証拠となる。
●米国雇用統計が悪い結果の場合
景気後退を示唆する可能性がある。
② 市場の反応を予測
米国雇用統計の結果は、株式市場や為替市場に大きな影響を与えることが多いです。
●雇用者数や失業率が予想を上回った場合
株価の上昇やドルの強化が見込まれる。
●雇用者数や失業率が予想を下回った場合
市場は売りが先行し、株式や通貨に下落圧力がかかる可能性がある。
市場の反応を予測するために、雇用統計を注視することが重要です。
③金利政策の予測(次章で詳しく説明)
米国の中央銀行である連邦準備制度(FRB)は、雇用統計をもとに金利政策を決定します。
●失業率が低く、賃金が上昇し続ける場合
インフレを抑制するために金利引き上げが行われることがある。
●失業率が高く、経済の成長が鈍化している場合
金利を引き下げて景気を刺激することが考えられる。
雇用統計を確認することで、FRBの政策動向を予測する手助けになります。
③政策金利
政策金利とは?

そもそも金利とは何でしょうか?
金利とは、「私たちが銀行から借りるときにかかる利子である」というのが一番イメージしやすいと思います。
他には、車を購入するときに組むローンにかかる金利も同じような意味です。
では政策金利とはいったい何でしょうか?
政策金利とは、中央銀行が金融機関へ向けてお金を貸し出すときにかかる金利のことです。
ちなみに中央銀行とは、日本銀行のことです。お金を発行し、銀行にお金を貸し受ける役割を持ちます。

普通の金利と政策金利は何が違うの?
結論としては、貸す側と借りる側が異なっていることです。
●普通銀行の場合
民間銀行が、個人・法人へ貸す。
●中央銀行の場合
中央銀行が、民間銀行へ貸す。
そして、「策金利をどのくらいに設定するのか?」を決定しているのが、中央銀行です。

政策金利を決める目的としては、「物価」と「通貨」の安定のためです。
政策金利が景気に与える影響とは?
先ほどの「物価」と「通貨」の安定という目的にもつながります。
まずは景気が良いときを想像してみましょう。
Q:景気が良い時とはどんな状態?
A:どの会社も業績がうなぎ登りで、社員への給料もがっぽがっぽ入ってくる状態です!
そういった状態だと、余裕のあるお金は消費に向かいますよね。
●一般消費者の場合
・モノがより多く買われていく。
・モノへの需要がある分、モノの価格は上がっていく。
●企業の場合
・余裕資金を設備投資などに回す
・事業拡大へ向けて、銀行からもお金をどんどん借りるようになる。
このような流れにより、お金が回るようになり経済の活発化につながります。
しかし、経済が過熱しすぎると、いわゆる「インフレ」という状態になってしまいます。
インフレ傾向になると、モノの価格はどんどん上がっていくので、モノの適正な価値を超えた状態が続いてしまいます。

このインフレを抑えるために、中央銀行は政策金利を引き上げます。
●中央銀行によって「高い政策金利」が設定された場合
企業は資金調達がしづらくなり、設備投資などの積極的な投資が抑制されます。
●不景気時に、中央銀行が「低い政策金利」に設定した場合
企業は低い金利で資金を調達することで、設備投資などの経済活動が活発になります。
つまり、政策金利は景気の過熱感を調整するための役割を持っています。
政策金利と株価の関係
まずは金利が低下した場合を考えてみましょう。
先ほども企業が銀行から資金を借り入れるときのコストとして、金利があるとご説明しました。
金利が低下すると、企業は資金を借りやすくなり、設備投資などの事業拡大が可能となります。
低コストでお金を借りることができるので、「お金を借りて投資しても、借金の返済ができる!」
このように、判断できるケースが増えるのです。
したがって、金利が下がった場合...
・事業拡大により、企業の売上が増える
・社会全体の景気が良くなる可能性がある
・利益増加予想から、株価を上げる要因となる。
逆に金利が上がった場合...
・事業拡大のための借り入れをためらう企業が増える予想される。
・社会全体の景気が悪化する可能性がある
・利益減少予想から、株価を下げる要因となる。
このような流れから、一般的には金利と株価は逆の動きをすると考えられます。

しかし、必ずしもこのような動きになるわけではないので「一般的には」と認識しておいてください。
リスク許容度の設定
投資家は自身の「リスク許容度」を明確に定めることが重要です。
リスク許容度とは、投資において損失を被ってしまった場合、その損失をどの程度まで受け入れることができるかということを意味しています。
この許容度は、
・年齢
・職業
・家族構成
・投資期間
・投資目的
これらの違いによって異なります。
リスク許容度を明確にすることで、自身の投資ポートフォリオをリスクに対して適切に調整することができます。
リスク許容度の目安とは
①日常生活に影響のない程度の損失
②精神的に大きな負荷のかからない損失
③教育資金や老後資金に影響のない損失
大きくこの3つに分けられます。
全ての投資において、リスクとリターンがあります。
●ハイリスク・ハイリターン投資
「リターンをとにかく大きくしたい!」場合...
→それと引き換え、高いリスクを受ける必要がある。
●ローリスク・ローリターン投資
「とにかくリスクを最小限に抑えたい!」場合...
→リターンについてはそれほど大きくならない可能性がある。
リスクとリターンのどちらを重視するかで、リスク許容度は異なります。
そのため、投資を行う際には自分のリスク許容度をしっかり把握しておかなくてなりません。
間違ったリスク許容度で認識すると、大きなリスクを負ったり、リターンがあまり受け取れなかったりと損をしてしまいます。
年代別で例をご紹介します。
●将来的に十分働ける20~30代の方
低リスク資産の代表である「国債」へ投資している場合...
→リスクを過度に意識して、定年までの期間の総合的なリターンを押し下げることにつながる。
20~30代の方は、定年までの労働で得る給料など、定期的な賃金を確保することができます。
しかし60代になると、年金生活で貯金を切り崩す生活になるため、積極的な投資は難しいです。
●リスクを取れる20~30代の方
リスクを取る「株式」へ投資している場合...
→定年まで30~40年の期間があるため、リスク分散しながらリターンも上げることにつながる
つまり、リスクを取りながらでもリターンを狙う投資の方が、良い方向へ向かう可能性が高いです。
逆に60代以降の方は、安定的な収入や将来的な時間も20~30代に比べて少ないため、リスクを最小限に抑えた投資の方が良いと考えることができます。

上記の例はあくまでも一例ですが、投資年齢や職業でリスク許容度は大きく変わってきます。
最終的には「自分がどのくらいのリスクを引き受けられるか」がポイントになるので、しっかりリスク許容度を把握しておきましょう。
リスク許容度のタイプを把握しよう
まず自分のタイプを把握するときに、ポイントとするのが以下の6項目になります。
①投資経験(例:1年)
②年齢(例:25歳)
③家族構成(結婚して、子供が2人)
④年収(約350万円)
⑤資産状況(株式に約100万円)
⑥目標・性格など(例:月10万円を配当金として受け取りたいなど)
これらのポイントをもとにリスク許容度を計算し、自分はどのタイプなのかを把握することが大切です。(計算方法は次章でご説明します。)
リスク許容度のタイプ例として以下のようなものが挙げられます。
●リスク許容度レベル
・リスク許容度1:リスク回避を最重要に考える堅実派
・リスク許容度2:リスク軽減を重要視して投資を行う
・リスク許容度3:リスクとリターンのバランスを重視
・リスク許容度4:ハイリターンを重要視して投資を行う
・リスク許容度5:リターンを最重要に考える成長期待派
③リスク許容度を計算できるツール

自分のタイプがよく分からない方向けにリスク許容度測定の無料ツールがあります!
いくつかの質問に答えるだけで、あなたのリスク許容度を判定してくれたり、相性のよい金融商品を提案してくれたりするので、とても便利です。
計算ツール①全国銀行協会「リスク許容度診断テスト」
全国銀行協会「リスク許容度診断テスト」
こちらは、一般社団法人全国銀行協会が提供する計算ツールです。
①簡単な質問でリスク許容度を判定
②自分に合った投資スタイルが分かる
③無料で利用可能
④投資初心者にも分かりやすい
①簡単な質問でリスク許容度を判定
診断は、投資に関するいくつかの質問に答える形式で進められます。
例えば、以下のような質問です。
・市場が下落した場合にどう感じるか?
・リスクを取ることで得たいリターンはどの程度か?
これらに基づいて、リスクをどれだけ許容できるかを評価します。
②自分に合った投資スタイルが分かる
診断結果に基づき、自分のリスク許容度に適した投資スタイルを知ることができます。
例えば、リスクを取れるタイプの人には積極的な株式投資が推奨され、リスクを抑えたい場合は安定性重視の債券中心のポートフォリオが提案されます。
③無料で利用可能
このテストは無料で提供されており、誰でも簡単に利用できます。
④投資初心者にも分かりやすい
質問内容はシンプルで、専門的な知識がなくても答えやすい内容です。
投資の初心者でも、自分に合った投資スタイルを見つけやすくなります。
計算ツール②ウェルスナビ「リスク許容度無料診断」
ウェルスナビの「リスク許容度無料診断」は、ユーザーが自分の投資に対するリスクをどの程度受け入れられるかを把握するための無料診断ツールです。
この診断を通じて、自分に適した投資戦略やポートフォリオを見つけることができ、投資を始める際の一歩を踏み出す手助けになります!
①簡単な質問形式
②自分に合った投資提案
③無料で利用可能
①簡単な質問形式
診断は、簡単な質問形式で進められます。
質問内容は、主に投資の目的や投資期間、リスクに対する感じ方(例えば「価格が下がった場合にどう感じるか」)に関するものです。
これに答えることで、自分のリスクに対する感覚を理解できます。
②自分に合った投資提案
診断結果をもとに、ウェルスナビはリスク許容度に応じた投資戦略を提案します。
これにより、投資初心者でも自分に合った投資スタイルを見つけやすくなります。
例えば、以下のように提案します。
・リスクを取れる方には株式中心の積極的なポートフォリオ
・リスクを抑えたい方には債券中心の安定的なポートフォリオ
③無料で利用可能
この診断は完全に無料で提供されており、ウェルスナビのサービスを利用しなくても自分のリスク許容度を把握することができます。リスクに対する理解を深めるだけでも価値があります。
まとめ
一般的に実施すべきリスク管理のポイントをお伝えしてきました。
しかし、なかには...

これらを全て行うのは大変だ...
そう思う方もいらっしゃると思います。
その場合は、1つのポイントのみ絞って行ってみたり、しっかりポートフォリオを管理してくれる対面の証券会社にお任せしたりすることもできます。
特に、プロの方にお願いするのが手っ取り早いというのもあります。
しかしその場合、その対価として手数料を負担する必要があることは注意してください。
リスク管理自体、その人の価値観や「ここだけはリスクを取りたくない!」といった思いから、どのポイントに注力するかも変わってきます。
私としては、「手数料がかかることが1番のリスク」だと考えているので、できるだけ手数料を抑えることに注力しています。
何が正解か不正解というものはありません。
しかし最近、「金融商品を購入してそのままほったらかし」の方が増えてきているのも事実です。
全く管理もせずにほったらかし状態になってしまうと、もしその商品にかかわる重大なニュースや出来事があった時に、大きなリスクを被ることになったり、その場合にどう対処したらよいのかなど判断することができません。
リスク管理を行うということは、自分の持っている金融商品にしっかり関心を持っているということです。
関心があるからこそ、その商品の価値がゼロにならないように管理していくことにもつながります。
したがって、もしこれを読んでいる方の中で、
・以前銀行や証券会社から金融商品を購入したけどったらかしの方
・保有資産が現在どんなポートフォリオなのか把握していない方
この状態の方は、一度確認しておきましょう。
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